「世界でよいこと」をしてきた100年
1917年、当時の会長アーチ・クランフが「世界でよいことをする」ための基金をつくるというビジョンを発表。26ドル50セントの寄付でスタートした財団は、世界有数の財団に成長し、何百万という人のために人道的支援を行ってきました。
1世紀にわたる財団の豊かな歴史についてご覧ください。
「世界でよいことをするための基金を作るのが、極めて適切であると思われます」
(アーチ C. クランフ、1917年6月)
ロータリーのアーチ・クランフ会長が「世界でよいことをする」ための基金の設置を提案
アトランタ(米国ジョージア州)ロータリー年次大会の演説で、クランフ会長が、現在のロータリー財団の種となる基金の設置を提案。基金への初めての寄付は、カンザスシティ・ロータリークラブ(米国ミズーリ州からの26ドル50セントでした。
1916-17年度に開かれたアトランタ大会の無声映像で、 クランフ会長や初期のリーダーの当時の様子をご覧いただけます。(英語のみ)
「ロータリー財団」と正式に命名
1928年のミネアポリス(米国ミネソタ州)国際大会で「ロータリー財団」と正式に命名され、管理委員会が設置されました(それまではRI理事会が基金を監督)。
財団が国際障害児協会に500ドルの補助金を授与
国際障害児協会(イースターシールズ)は、1919年にロータリー会員エドガー F. アレンにより設立されました。地元オハイオ州に病院を立てる事業を終えたばかりのアレンは、障害児の多くが世間の目から遠ざけられていることに気づきました。ほかにも障害児への支援を行っていたロータリアンが多くおり、1922年ロータリー国際大会では障害児への支援がクラブに呼びかけられました。ロータリー財団にとって国際障害児協会への支援は自然な成り行きでした。
ポール・ハリスやその他のロータリアンからの援助の下、エドガー F. アレンが「イースターシールズ(Easter Seals)を設立。
市民に世界の問題を知ってもらうため、各地のクラブが研究会を開催。写真は、1942年に米国ケンタッキー州グラスゴーで開かれた研究会の様子。
世界の問題に対する市民の意識を高める国際理解研究会を各地で開催
ポール・ハリス逝去後にロータリー会員から130万ドルの追悼寄付
ロータリー創設者ポール・ハリスの逝去後、「追悼は献花ではなく財団への寄付」というハリスの遺志が電報でロータリアンに伝えられました。
財団で初のプログラム(大学院研究のための奨学金)を開始
財団初の継続的プログラムは、大学院留学の支援を通じて国際理解を推進する奨学金プログラム(さまざまな名称で呼ばれ、「国際親善奨学金」はその一つ)。
ノルウェー、オーストラリア、米国からの初期の奨学金受領者とのラジオインタビュー(1950年)をお聴きいただけます。(英語のみ)
ポール・ハリス・フェロー認証プログラムを創設
財団で初の寄付者認証プログラム。1,000ドル以上を寄付した人に「ポール・ハリス・フェロー」の称号が授与され、後年、複数のレベルが設けられました。寄付者が指定したほかの人にポール・ハリス・フェローの称号を贈ることもできます。ポール・ハリス・フェローの数は、2006年に100万人に達しました。
ポール・ハリス・フェローの初期のメダル。
地区の組み合わせプログラム創設
カール・ミラー1963-64年度RI会長の発案により、異なる国のクラブと地区を組み合わせて国際理解を推進するプログラムが開始されました。後に、国際奉仕プロジェクトの支援を目的にミラー夫妻が100万ドルを寄付。1990年代の「カール・ミラー助成金」は奉仕プロジェクトに必要な会員の旅費を援助しました(この助成金は2003-04年度に廃止)。
「マッチング・グラント」プログラムの開始
クラブと地区のプロジェクトに補助金を提供する財団初の常設プログラム。
マッチング・グラントの恩恵について語るカルロス・カンセコ1984-85年度RI会長のインタビュー(1994年)をお聴きいただけます。(英語のみ)
グアテマラでは、マッチング・グラントで清潔な寝具を提供。さらに、虐待や育児放棄の犠牲となった18歳未満の少女たちのための施設に、台所用品とバスルームの用品一式を寄贈。
研究グループ交換(GSE)を創設
大規模な人道的取り組みを可能とする「保健、飢餓追放および人間性尊重(3-H)補助金プログラム」を創設
3-Hプログラムは、保健、飢餓の緩和、人道的活動や開発を改善することを目的としています。きれいな水の提供、識字率向上、医療の支援など、多様なプロジェクトに利用されたこの補助金は、今日の「グローバル補助金」の土台を築きました。
バングラデシュでは、1998年、ロータリー会員が3-H補助金で低所得家族のための住宅を提供。
1978年東京国際大会で3-H補助金の創設を発表するクレム・レヌーフ1978-79年度会長の演説をお聴きいただけます。(英語のみ)
ロータリーがフィリピンで600万人の児童へのポリオ予防接種活動を開始
ロータリーが承認した最初の3-H補助金は、フィリピンでの予防接種用にワクチンを購入することが目的でした。同じ頃、天然痘の撲滅に関する記事を読んだクレム・レヌーフ国際ロータリー会長は、数人のロータリー会員および国立衛生研究所の感染病部門責任者だったジョン・セバーに連絡し、伝染病の撲滅にロータリーが取り組めるかどうかを相談。セバーはポリオ撲滅への取り組みを勧め、経口ポリオワクチンの開発者であるアルバート・セービン博士との協力を提案。セバーとセービンの両者とも、ロータリーのポリオ撲滅プログラムに欠かせない存在でした。
ジェームス L. ボーマー1979-80年度RI会長がフィリピン保健省の担当者と会い、少女に経口ポリオワクチンを投与したときの映像をご覧いただけます。(英語のみ)
フィリピンでの体験について語るボーマー元会長の声をお聴きいただけます。(英語のみ)
1979年9月29日、国際ロータリーとフィリピン保健省の間で、ポリオ予防接種に関する合意が交わされました。この取り組みが、地球上からポリオを撲滅するというロータリーの壮大な目標のきっかけに。
経口ポリオワクチンの開発者であるアルバート・セービン博士は、ロータリーによるポリオ撲滅の取り組みと他組織との提携において、中心的な役割を果たしました。
一斉予防接種の重要性を訴えるセービン博士の演説をお聴きいただけます(国際大会にて)。(英語のみ)
「予防接種を通じてポリオを撲滅する」ことがロータリーの目標に
財団が恒久基金を設立
特定の寄付を投資し、元金には手をつけずにその収益のみを財団の活動に活用することを目的とした基金。
管理委員会が、後に恒久基金となる「世界理解と平和のための基金」の設立を決定。
1984年ロータリー国際大会で、ユニセフのジェームス・グラント事務局長が行ったポリオ撲滅に関する講演をお聴きいただけます。(英語のみ)
ポリオプラス・プログラムを創設
当初、「プラス」はポリオワクチンとともに投与されていたほかのワクチンを指していました。現在は、ポリオ撲滅の取り組みにより築かれたインフラやファンドレイジングとアドボカシーのノウハウを、他の疾病対策に生かしていくことも意味しています。
当初、GPEIはロータリー、世界保健機関(WHO)、米国疾病対策センター(CDC)、ユニセフで構成され、これらの団体が協力してポリオ撲滅活動に当たっていました。その後、ビル&メリンダ・ゲイツ財団を含む他団体や各国政府が加わりました。
フィラデルフィア国際大会にて、ロータリーが1億2000万ドルの募金目標を上回ったことが発表され、会場が沸きかえりました。(英語のみ)
数年間にわたるポリオプラス・キャンペーンで約2億4700万ドルを募金
ポリオ予防接種活動でのロータリーの成果がきっかけとなり、世界保健総会が世界ポリオ撲滅推進活動(GPEI)を創設しました。
財団がロータリー平和フォーラムを開催
国際的な平和行事を行うことへの関心から、財団は、3年間の試験的取り組みとして一連の平和フォーラムを開催。最初の3回は米国イリノイ州エバンストン、コスタリカ、フランスで開かれました。
1988年4月にコスタリカで開かれた平和フォーラムで、チャールズ・ケラー1987-88年度会長が、世界平和の構築においてロータリアンが果たす重要な役割を強調。(英語のみ)
全国予防接種日の支援を目的とした「ポリオプラス・パートナー」プログラムを創設
バナー、パンフレット、Tシャツ、帽子などのキャンペーングッズ、ワクチンの冷却保存容器など、全国予防接種日に必要なものを購入するためにポリオプラス・パートナー・プログラムを開始。
インドでのポリオ撲滅キャンペーン中、街頭に集まる子どもたち。
自分にとっての平和の意味について語るロータリー平和フェローたち(2015年)。(英語のみ)
ロータリー平和センターの設立
平和と紛争予防・紛争解決の分野で活躍できるリーダーを育成することを目的としたプログラム。毎年、100名までのロータリー平和フェローが選ばれ、6つのセンターにおける修士号取得プログラムか専門能力修了証取得プログラムのいずれかで学びます。第1期フェローは、2002年秋に学業を開始。
「Every Rotarian, Every Year」(EREY)を開始
2004年版EREYパンフレット
全ロータリアンが毎年財団に寄付することを奨励する取り組み。当初は年次基金への一人あたりの寄付額を年100ドル以上とすることが目標でしたが、開始から10年後、年次基金への一人あたりの寄付額は116ドルとなりました。
250,000ドル以上の寄付者認証プログラム「アーチ・クランフ・ソサエティ」を設立
ビル&メリンダ・ゲイツ財団が1億ドルのチャレンジ補助金をロータリーに授与
2011年のインタビューで、ポリオ撲滅においてロータリーが果たしている大きな役割について語るビル・ゲイツ氏。
ロータリーが集めた1億ドルに対し、ビル&メリンダ・ゲイツ財団が同額1億ドルの補助金を上乗せするもの。その2年後、ゲイツ財団は、ロータリーが追加2億ドルを集めることを条件に、2億5,500万ドルをロータリーに授与することを発表。ロータリーとゲイツ財団とのパートナーシップは、世界の人びとの健康を守るために大きく貢献しています。
ガーナで水を汲む女性。ロータリーとUSAIDの協力を通じて、4カ国(当初は3カ国)における水と衛生を改善しています。
ロータリーとUSAID(米国国際開発庁)が国際H2O協力を開始
簡素化された補助金モデルを導入
新しい補助金モデルの下、グローバル補助金と地区補助金の2種類を導入。これに伴い、3-H補助金、マッチング・グラント、旧地区補助金、国際親善奨学金、研究グループ交換(GSE)は廃止されました。
グローバル補助金は、地域のニーズ調査に基づいて持続可能な成果をもたらす大規模なプロジェクトを支援。写真は、グローバル補助金による支援を受けたグアテマラの学校。
2002年、ナイジェリア北部で戸別ポリオ予防接種を実施。(写真提供:Jean Marc Giboux)
約30年にわたるロータリーとパートナー組織の懸命な取り組みにより、1988年のGPEI発足以来、ポリオの発症数は99.9%減少。
7月1日に財団創立100周年度が開始
韓国国際大会で100周の祝賀年度が幕開け。ロータリーの活動を紹介するイベントや活動を、各地で実施しましょう。
財団100周年の幕締めとなるアトランタ国際大会に登録し、財団生誕の地での祝賀にご参加ください。
財団がこれからも「世界でよいこと」をしていくために、どうかご支援をお願いいたします。
1917年、当時の会長アーチ・クランフが「世界でよいことをする」ための基金をつくるというビジョンを発表。26ドル50セントの寄付でスタートした財団は、世界有数の財団に成長し、何百万という人のために人道的支援を行ってきました。
1世紀にわたる財団の豊かな歴史についてご覧ください。